新しい頁(ペイジ)をきりはなつとき 紙の花粉は匂ひよく立つ ~室生犀星「本」。

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3人目のこども。3

2006 - 10/13 [Fri] - 15:25

 実家で母親とお昼のニュースでも観ながらお喋りをしていた時だったと思う。
母が、そういえば…と思い出したように引き出しから封筒を出して来た。
ユニセフのダイレクトメールだった。
数日前に父親宛に届いたらしい。
以前に我が家にも届いたという話をすると、母が「本物やろうか」と言った。
「信じらん方が良かよ」
私は答えた。
「只でさえ変な詐欺が横行しよるけん。それにほんとのユニセフがDMば送りつけるとか思えん」
 DMとかさっさと捨てる方がよか、と私が言うと、母もそうやね…と言ってテーブルの上に出してきたDMをそのままゴミ箱に入れた。

 母親から見せられるまでユニセフのDMのことなどきれいに忘れていた。
我が家に届いたのは随分前のことだった。
その時は一応開封して見てみたものの、ここ最近ハガキに額面どおりの文句を書き連ね電信代なる金を振り込めと請求している厚顔無恥な郵便が数回届いていたこともあって、中身にざっと目を通したものの、よく出来たカタリだと呆れ、母親に言った通り「自称」ユニセフのDMはゴミ箱行きとなっていた。

 実家からの帰り道、車の運転をしながらそんなことを思い出した。
この頃の自分は身の回りに起こった不思議な出来事や縁(えにし)について、よく思いを馳せた。
3月から回り始めた自分の天球儀は、今また新たな黄道を模索していた途中であったのかもしれない。
スピリチュアルの世界も然り、フジ子・ヘミングさんの言葉も然り。
自分で「これこれこうだから、こうなった」という理論付けをすることはなくても、それらの出来事はこれからの自分を形作る下地として、無意識の内に少しずつ蓄積されて行っていたのかもしれない。

 そして5月。意識の変化は思いがけない唐突さで現れた。
蓄積された実の中身が満杯になったのか、熟れた柿の実が枝からすとんと落ちるような必然さで頭に閃きが走った。
手元にはいつもの朝刊があった。そして発展途上国の人々に支援を求めるボランティア団体の広告…。
すぐにパソコンを立ち上げ、広告に記されているアドレスを打ち込んだ。聞いたことのない名前だったが、国連の組織だという。
HPの内容に一通り目を通した後、私の心は決まっていた。
しかしその時にふっと、今の今まで忘れ果てていた「フォスター・ペアレンツ」のことを思い出した。
数年前に小説の資料として扱っておきながら何の痛みもなく、その後一円たりとも寄付しようなどと思いもしなかった──。
 昔の記憶にもどかしい思いでフォスター・ペアレンツを検索する。
しかし公式HPが見あたらない。
キーワードからいくつかの記事を見て回り、現在は「プラン・ジャパン」という名称に変わっているのだと分かった。
 リンク先の公式HPにアクセスし資料請求の申し込みをする。
まるで一仕事を終えてホッとしたように溜め息をついた。
点となって切れていた6年前が再びリアルな線となって現在の自分と繋がった。
 母親とユニセフの話をしたのはついこの間のことなのに。
けれど人が何かに関わり始める瞬間というものは、誰しもこんな風に唐突にやって来るものなのだろう。

 そして数日後、プラン・ジャパンから請求していた資料が届いた。
主人が帰宅し、頃合いを見計らって「これをしたいと思ってるんだけど」と資料を見せた。
けれど彼は一瞥しただけで手に取ろうとはしなかった。でもこれはいつもの彼の癖である。何をするにしても「お前が納得してるならいい」というスタンスの彼はあまり詳しい話を必要とはしないから。
だから今回もきっと「お前がしたいならすれば」そう返ってくると思っていた。なのに。
「寄付しようという気持ちは偉いけどさ、そんな立派な資料が必要なわけ?そんなの作る金はどこから出てんの?」
 そう言われて言葉に詰まった。予想外の展開に何だか昂揚していた気分がへにゃへにゃになってゆく。
「100%が貧しい人たちに行くんならいいけどさ。実際そうじゃないやろ?上に立つ奴らがいいように遣いよるとじゃなかつか?」
 何だか正論を言われたような気になった。
そうだ。自分だって以前はそう思っていた。ニュースで汚職だ何だと流れるたびに、寄付なんてしたって虚しいだけだと。
 私は小さい声で「あ…うん、そっか、やっぱそうだよね…」
としか言えなかった。

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