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3人目のこども。2

2006 - 10/10 [Tue] - 16:40

 「フォスター・ペアレンツ」のことを初めて知ったのは、もう6年くらい前になるだろうか。
小説を書くことの面白さを知り、さあ次も頑張って書くぞと創作意欲満々に張りきっていた頃だった。
 「事故で両親を亡くした大学生が売春まがいなことをしながら、見知らぬ一人の貧しい子供に送金をし続ける」というプロットを考えたまではよかったのだが、果たしてそんなボランティア団体は実際に存在するのだろうかという疑問が残った。
きっと何らかの形で不幸な境遇の子供たちを支援する団体はある筈なのだが、自分の考えている「足長おじさん」のようなシステムで支援できる活動をしている団体はあるのだろうか…?
もしもそんな団体が存在するのならば、その団体の名称や活動の詳細など、具体的な情報をぜひ知りたいと考えていた矢先のことだった。

そしてある日の新聞に「フォスター・ペアレンツ」なるボランティア組織の広告が掲載された。
思いも掛けずに欲しかった情報がすんなりと手に入り、私は何てラッキーなのだろうと単純に喜んだ。
 実際の活動の内容は、ペアレンツと言っても里親になって子供たちを引き取るという訳ではなく、いわゆる発展途上国のある地域に一定額の支援をし、その地域に住む子供の中から選ばれた一人の子供(チャイルドと呼ばれる)と継続して手紙のやり取りなどの交流ができるシステムということだった。
 実際にこんなボランティア団体が存在すると確証を得た私は嬉々としてこの広告を丁寧に切り取り保管した。
私にとって新聞は貴重な情報源の一つだった。
 こうして「フォスター・ペアレンツ」という言葉はしっかり脳内に刻み込まれたが、しかしだからと言って自分が支援をしようなどとは更々思わなかった。
広告に写ったチャイルド達の写真を見ても心が動かされることはなかった。可哀相だとは思うけれどそれは自分の出来る役目ではないと心の中で区別していた。
誰に対しての言い訳なのか、無垢な目をした写真の中のチャイルドから目を逸らしていることへの気まずさからなのか、それこそ賞金でも貰える身分になってから「いつかね、いつか…」とそう呟いた。
「車を買い直したら」「家を建てたら」「子供の発表会が終わったら」「新しいバッグを買ったら」
エンドレスに物欲はなくならず、そんな自分を正統化する為に「いつか」なんて言っている。
けれど「いつか」なんて言っている内は一生無理だということに気付かないまま、私にとっての「フォスター・ペアレンツ」は、あくまでも小説を書く為の大事な資料の一つにしか過ぎなかったのである。
 そしてこの数年後に自らがチャイルドと関わりを持つようになることなど、この頃の私は想像だにしていなかった。

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